-
-
シリーズ 皮膚科診療最前線シリーズ 定価 3,520円(本体3,200円+税) 版 型 B5判変型 頁 数 208頁 ISBN 978-4-89600-992-7 発売日 2006年6月10日 編集 宮地良樹 生駒晃彦
内容紹介
多くの皮膚疾患でかゆみは重要な愁訴であるにもかかわらず,止痒薬の隆盛に比べて皮膚科医のかゆみそのものに対する関心は低く,神経生理学の領域でも研究面で痛みの後塵を拝してきたことは否めない。かゆみは経験すればわかるように,かなりQOLを阻害する自覚症状であり,またかゆみは掻破を誘発し,掻破は病変を修飾 するので,かゆみの制御は皮膚科学の永遠の命題のはずである。かゆみは自覚症状であるがゆえにとらえどころがなく,客観的評価や定量的評価が困難なこと,神経生理学的な解明が遅れていたことなどがかゆみ研究を遅延させた大きな要因であろう。
最近この領域にも大きな進歩がみられ,中枢性のかゆみも含めて,神経生理学からの解明が進んだことを背景に,皮膚科領域でもかゆみに対する関心が高揚してきたことは喜ばしい限りである。今回,この領域の第一人者である生駒晃彦博士を編者に加え,かゆみ研究の全容を鳥瞰できるようにまとめることを意図した。“かゆいとこ ろに手が届くように”かゆみをめぐる最新情報をコンパクトに集約できたと自負している。
(宮地良樹「序文」より)
目次
1.かゆみのメカニズムを知る
1.かゆみとは?
1.かゆみは何のためにあるのか?
2.なぜかゆみは止めなければならないか?
2.かゆみの神経生理学
1.ヒスタミンのかゆみ:かゆみは痛みと同じ神経で伝わるのか?
2.ヒスタミン以外のかゆみ:かゆみの神経経路はひとつだけか?
3.かゆみを感じる脳部位:脳機能画像からわかること
4.かゆみと他の感覚の関係:どの感覚がかゆみを抑えるか?
5.かゆみと過敏:そのメカニズムと重要性
6.動物実験によるかゆみの研究:ヒスタミンは最強のメディエーターか?
7.疾患の動物モデルからわかること
3.かゆみのメディエーター
1.マスト細胞由来のメディアエーター:ヒスタミンだけが重要か?
2.そのほかの末梢性メディエーター:アトピー性皮膚炎のかゆみを起こすメディエーター
3.中枢性メディエーターオピオイドとかゆみ
2.かゆみを止める方法を知る
1.かゆみを正しく評価する
1.客観的で定量的な評価法はあるか?
2.抗アレルギー薬の位置づけ
1.抗アレルギー薬の止痒機序
2.インペアード・パフォーマンスとは?
3.抗アレルギー薬の効かないかゆみは?
3.外用剤とその止痒作用
1.ステロイドはかゆみを止めるのか?
2.タクロリムス軟膏はかゆみを止めるのか?
3.抗ヒスタミン薬の外用は効くのか?
4.メントールやクロタミトンは効くのか?
5.局所麻酔薬入りの外用剤は使ってよいのか?
4.即効性のある対処法
1.今かゆいときにどうしたらよいか?:掻いちゃダメ!だけでよいのか?
5.生活指導の重要性
1.かゆみを起こす食べ物・薬剤:食べてはいけないもの,飲んではいけないものは?
2.衣住環境とかゆみ:服装,室内環境,入浴指導はどうすべき?
6.心のケアでかゆみを制御する
1.嗜癖的掻破行動とは?
2.小児の嗜癖的掻破行動と母子関係
3.心身医学的薬物療法は有効か?
7.新しいかゆみ治療の可能性
1.いま開発中の止痒薬への期待
2.かゆみに奏効する可能性のある既存薬