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シリーズ 心の医学新書シリーズ 定価 2,200円(本体2,000円+税) 版 型 B6判変型 頁 数 264頁 ISBN 978-4-89600-828-9 発売日 2005年9月12日 著者 武田雅俊
内容紹介
わが国の痴呆研究は国際的にもトップレベルにある。わが国は世界でも最長の平均寿命を誇っており,高齢社会の世界のトップランナーでもある。このことはそれだけアルツハイマー病患者がいるということであり,痴呆症への対応についても世界のトップランナーであり続けて生きたい。
痴呆症はいくつかの見地から極めて精神医学的な疾患であることをご理解いただきたい。第一に,脳の疾患により,その人の精神機能・行動が大きく損なわれる疾患である。脳の疾患により,人間の基本的に重要な記憶・認知・判断機能が障害される重要な極めて精神医学プロパーの疾患である。第二に,痴呆症は生命的予後には直接関係しないが社会生活上の生命を剥奪しうる。痴呆症上のために社会生活が障害されるという意味で極めて精神医学的な疾患である。第三に,痴呆の症状は極めて多彩であり,個人的であり,疾患患者の理解には人間学的理解が重要である。この事実は痴呆症患者の生活史をふまえた上で個別的対応が必要なことを示しており,精神医学的対応がなされなければ,痴呆症に立ち向かうことはできない。
「心の医学新書」シリーズの第1巻として,本書を上梓できることは,本シリーズが精神医学と身体医学との境界領域に焦点を当てて身体諸科の専門医にも現在の精神医学の状況を知っていただきたいという趣旨のもとに編まれていることを考えると,精神医学と身体諸科との接点を探るという意味でも最適のテーマではないかと思っている。
(本書「あとがき」より)
目次
第一章 序説―ヒトの進化と寿命
第二章 神経科学と精神医学
1.精神医学への期待
2.年精神医学への期待
第三章 老化の分子生物学と分子遺伝学
1.老化と老化学説
2.老化と遺伝子
3.老化と生体内細胞
4.遺伝子と生活習慣病
第四章 高齢者の増加
1.世界の高齢化
2.わが国の動き
第五章 高齢者の変化
1.高齢者の脳
2.高齢者の感覚
3.高齢者の記憶
4.高齢者の心理
5.高齢者の睡眠とリズム
6.高齢者の身体機能
第六章 高齢者の病態
1.抑うつ
2.老年期せん妄
3.軽度認知障害 MCI
4.痴呆
5.パーキンソン病