内容紹介
近年,血管研究における細胞生物学/分子生物学の進展には目を見張るものがある。これら基礎研究の進展は,研究レベルに止まることなく,実際の診断や治療まで変えつつある。「血管は単なるパイプではない」という言葉は,現在ではさらに進んで「血管こそ命の道である」といえる段階まで来ている。本書は血管医学を始める方の入門書である。
目次
第1章 血管の機能解明のための新しい分子生物学的手法
1. 血管への遺伝子導入法の開発とその成果
2. トランスジェニックマウスとノックアウトマウス
3. 増殖因子のシグナル解明
4. 形態学的開閉―病理学の立場から
5. PCR法を用いた微量遺伝子発現量の解析および定量化
第2章 血管における生命現象
1. 血管新生
2. アポトーシス
3. 血球と血管系のインターアクション
4. 血管平滑筋細胞のフェノタイプ変化と分化・脱分化
5. 細胞周期制御機構
第3章 血管におけるサイトカイン
1. ナトリウム利尿ペプチドファミリー―血管新生因子のVEGFの意義
2. Lp(a)
3. アンジオテンシンII―血管病態生理学における新たな展開
4. HGF
5. PDGF
6. HB-EGF―内皮傷害によるHB-EGFの産生誘導と動脈肥厚
第4章 リモデリング
1. 血管リモデリングの基礎
2. 腎血管および腎実質リモデリングの分子生物学的機序
3. 心臓リモデリング
4. 脳血管
座談会
心血管リモデリングの改善―レニン・アンジオテンシン系を中心に
/北風政史/倉林正彦/熊谷裕生/森下竜一(司会)