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定価 3,850円(本体3,500円+税) 版 型 A4判 頁 数 116頁 ISBN 978-4-7792-2174-3 発売日 2018年12月5日 編集 日本呼吸器学会 薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第2版作成委員会
内容紹介
薬剤性肺障害は、「薬剤を投与中に起きた呼吸器系の障害のなかで、薬剤と関連するもの」と定義されます。
2002年7月、分子標的治療薬gefitinibが世界に先駆けてわが国で上市されると、同薬による薬剤性肺障害が多発し社会問題となりました。そこで、日本呼吸器学会(JRS)は増加する薬剤性肺障害に対応すべく、2006年4月に「薬剤性肺障害の評価、治療についてのガイドライン」を発刊しました。その後も、新規薬剤の開発が相次ぎ薬剤性肺障害の報告件数が増加するとともに、mTOR阻害薬にみられるような新たな病態も出現してきました。このような経緯から、JRSは「薬剤性肺障害の評価、治療についてのガイドライン」の改訂を試みましたが、薬剤性肺障害は個々の症例が対象で発症の予想が難しく、無作為割り付け試験が存在しないため、ガイドラインの要件を満たすことが困難でした。そこで、ガイドラインから「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き」とリニューアルされ、2012年5月に第1版が発刊されました。
現在、わが国では年間100件を超える新薬が承認、上市されています。特に、新たな分子標的治療薬や生物学的製剤などの開発、市場投入が続いています。また、免疫チェックポイント阻害薬の登場など、薬剤性肺障害をめぐる環境も大きく変化しています。このたび、前版から6年の歳月を経て、「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き」第2版を発刊することができました。本書では、薬剤性肺障害に関する最新の知見を反映させるとともに、日常診療での参考になるよう平易な記述を心がけました。
薬剤性肺障害の診断に際しては、すべての薬剤は肺障害を起こす可能性があることを念頭に置き、まず疑うことが重要です。多種多様な薬剤を扱う臨床医は薬剤性肺障害に遭遇する可能性が高く、肺に異常陰影の出現をみた場合、必ず鑑別しなければならない病態です。呼吸器内科医のみならず、あらゆる診療科の先生方に「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き」をお手元に置いていただき、早期の発見と対応にご活用いただけたら幸いです。
(花岡正幸「はじめに」より一部抜粋)
目次
第1章 薬剤性肺障害の基礎知識
A.定義と疾患概念
B.臨床病型とその考え方
C.発生機序
D.疫学
第2章 薬剤性肺障害の診断・鑑別診断
A.診断基準
B.診断の手順と鑑別診断
C.検体検査
D.胸部画像所見
E.気管支肺胞洗浄(BAL)
F.肺病理組織所見
G.薬剤負荷試験
第3章 薬剤性肺障害の治療法と予後
A.治療の実際
B.治療の反応性
C.予後
D.個別の治療方針が存在する薬剤
第4章 薬剤性肺障害の臨床病型と主な原因薬剤
A.間質性肺炎
B.肺水腫
C.薬剤性好酸球性肺炎(EP)
D.気道系病変
E.肺血管病変
F.胸膜病変
G.呼吸中枢障害、神経・筋障害
H.その他の臨床病型
第5章 各種の薬剤による肺障害
A.抗悪性腫瘍薬(分子標的治療薬を除く)
B.抗悪性腫瘍薬(分子標的治療薬)
C.関節リウマチ(RA)治療薬
D.サイトカイン製剤
E.免疫抑制薬
F.潰瘍性大腸炎治療薬
G.漢方薬
H.抗線維化薬
I.抗菌薬
J.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)・総合感冒薬
K.抗循環器病薬
L.生活習慣病治療薬
M.健康補助食品(サプリメント)
第6章 放射線照射による肺障害
A.病因・病態生理
B.発症関連因子
C.疫学
D.診断と検査
E.治療
第7章 医薬品副作用被害救済制度
A.医薬品副作用被害救済制度と給付の対象
B.給付の種類と請求方法
第8章 薬剤性肺障害が疑われた際の文献検索の方法
A.添付文書・インタビューフォーム
B.副作用が疑われる症例報告に関する情報
C.その他
D.一次資料の検索