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定価 3,080円(本体2,800円+税) 版 型 B5判 頁 数 178頁 ISBN 978-4-7792-2007-4 発売日 2017年12月1日 編集 赤水尚史
内容紹介
ホルモンの発見や内分泌の概念は19世紀後半から始まった。比較的新しい領域と言えるが,その後の内分泌学の進歩は素晴らしく,次々と新たなホルモンが発見され,それらの構造や機能が明らかにされてきた。さらに,ホルモンの産生機構,分泌様式や制御機構,受容体を介する情報伝達機構などが相次いで解明され,学問体系の1つとして位置づけられるに至っている。ホルモンが全身に作用することから,内分泌系は神経系や免疫系とともに臓器横断的なシステムであり,「生体の恒常性の維持や小児の成長や生殖を介した種の保存などに必須な機能を果たす」という特徴的な役割を担っている。
一方,内分泌学の進歩に伴って,内分泌学的異常による様々な疾患が見出され,それらの病因や病態が解明されてきた。必然的に内分泌学やホルモンは多くの疾患の診断や治療などに応用されるようになってきた。実際,ホルモンまたはその誘導体が様々な疾患の診断薬や治療薬として開発されている。さらに,ホルモン受容体も創薬のターゲットとなり,極めて多くの拮抗薬・刺激薬・修飾薬が臨床応用されてきており,内分泌学の臨床面での貢献は極めて高いと言える。
内分泌学の中心を担う学会は,最初に米国でEndocrine Societyとして創設され,その年次集会は本年で102回を数える。次に古い伝統を誇るのが日本内分泌学会であり,本年第90回の節目を迎えた。その記念すべき第90回日本内分泌学会学術総会を小生が2017年4月,京都にて開催させていただいた。内分泌学の将来の発展を期して学術総会のテーマを「内分泌学の進歩と革新」とし,多数の参加者を得ることが出来た。
このような状況のもと,メディカルレビュー社にてメディカルスタッフ向けの内分泌疾患副読本,「ホルモンのしくみ―疾患別ケアのポイント―」の制作が企画された。幸いなことに,本書の執筆者として日本内分泌学会の主要メンバーの多大なご協力を得ることが出来,広汎な内分泌学や多数のホルモンを網羅した見事な良書が出来上がった。様々な部位で分泌されるホルモンが全身のあらゆる臓器に作用することで生じる疾患について,メディカルスタッフ向けに解説した学術書はそれほど多くないと思われる。本書を通じてメディカルスタッフの皆さんの内分泌学やホルモンの理解が深まり,日本内分泌学会のさらなる発展にも寄与していただけることを願っている。
(赤水尚史「巻頭言」より一部抜粋)
目次
第1章 ホルモンのしくみ―ホルモンの産生・分泌と作用する臓器―
1視床下部
1 成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)
2 成長ホルモン放出抑制ホルモン(ソマトスタチン;SRIF)
3 プロラクチン分泌抑制因子
4 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
5 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
6 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン;GnRH)
7 キスぺプチン(メタスチン)
2下垂体前葉
1 成長ホルモン(GH)
2 プロラクチン(PRL)
3 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
4 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
5 性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン;Gn)―卵胞刺激ホルモン(FSH)・黄体形成ホルモン(LH),他―
3下垂体後葉
1 抗利尿ホルモン(バソプレシン)
2 オキシトシン
4甲状腺
1 甲状腺ホルモン―トリヨードサイロニン(T3)・サイロキシン(T4)―
2 カルシトニン(CT)
5副甲状腺
1 副甲状腺ホルモン(PTH)
6肝臓
1 アンジオテンシン(Ang/AT)
2 インスリン様成長因子-I(ソマトメジンC;IGF-I)
7副腎皮質
1 コルチゾール
2 アルドステロン
3 副腎アンドロゲン
8副腎髄質
1 カテコールアミン(CA)―ノルアドレナリン・アドレナリン,他―
9膵臓
1 インスリン
2 グルカゴン
3 ソマトスタチン
4 膵ポリペプチド
10腎臓
1 レニン
2 エリスロポエチン(EPO)
3 活性型ビタミンD[1,25(OH)2D]
11消化管
1 ガストリン
2 セクレチン
3 胃抑制性ポリペプチド(GIP)
4 グルカゴン様ペプチド(GLP)
5 コレシストキニン(CCK)
6 血管作動性腸管ポリペプチド(VIP)
7 グレリン
12男性性腺(精巣)
1 テストステロン
13女性性腺(卵巣)
1 エストロゲン
2 プロゲステロン
3 インヒビン
4 抗ミュラー管ホルモン(AMH)
14胎盤
1 ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
2 ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)
15脂肪細胞
1 アディポサイトカイン
第2章 ホルモンが引き起こす病気(疾患・病態)
1 糖尿病(糖代謝)
1 1型糖尿病
2 2型糖尿病
2 メタボリックシンドローム
1 肥満症
3 甲状腺疾患
1 甲状腺機能亢進症
2 甲状腺機能低下症
3 亜急性甲状腺炎
4 無痛性甲状腺炎
4 骨粗鬆症
1 骨粗鬆症
5 副甲状腺疾患
1 原発性副甲状腺機能亢進症
2 副甲状腺機能低下症
6 視床下部と下垂体疾患
1 先端巨大症
2 下垂体性巨人症
3 高プロラクチン血症
4 クッシング病
5 二次性甲状腺機能亢進症
6 成長ホルモン分泌不全性低身長症
7 下垂体前葉機能低下症
8 尿崩症
9 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
7 性腺疾患
1 男性性腺機能過剰症
2 男性性腺機能低下症
3 女性性腺機能過剰症
4 女性性腺機能低下症
8 副腎および関連疾患
1 クッシング症候群
2 原発性アルドステロン症
3 副腎皮質機能低下症
4 褐色細胞腫・神経芽細胞腫
9 消化器疾患(多腺性内分泌疾患)
1 ガストリノーマ
2 VIP産生腫瘍(VIPoma)