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定価 4,950円(本体4,500円+税) 版 型 B5判 頁 数 240頁 ISBN 978-4-7792-1823-1 発売日 2017年1月27日 著者 染矢俊幸
内容紹介
近年のうつ病患者数の急激な増加を鑑み、一般臨床医におけるうつ病診断力の向上を図ることを目的として、本書の初版である『一般臨床医のためのうつ病診療エッセンシャルズ』を2014年春に刊行した。多忙な一般臨床医に診療の合間に目を通していただけるよう、単元ごとに見開き単位の読み切り構成としたほか、図表もふんだんに盛り込み理解の一助となるよう工夫し、うつ病診療に必要と考えられる基本的な知識をコンパクトにまとめた。この初版に関しては、多くの一般臨床医のうつ病診療にいささかなりとも役立ったのではないかと思う。
一方で、初版刊行後、一般臨床医だけでなく精神科医が読んでも役立つような内容に拡充してはどうかとの声をいただいた。うつ病に関する医学書として、一般臨床医と精神科医という異なるベクトルの読者を対象とすることは、ややもすると本書が目指すべき方向性を見失うのではないかと懸念された。しかし、見開きを単位とした読み切り構成の利点を活かして、基本的な知識だけでなく専門的な知識も単位ごとに記載することでクリアできるのではないかと考えた。そこで第2版では、特に精神科医にとって必須となりうる専門性の高い知識はAppendixとして盛り込むなどの大幅な増補改訂を行った。このAppendixは一般臨床医には不要と思われる内容かもしれないが、精神科医にとってはうつ病診療の全体像を俯瞰するために役立つのではないかと思う。
また、2014年にうつ病の診断で汎用されているDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)がDSM-ⅣからDSM-5に改訂されたことを受け、本書での記載内容をDSM-5の診断基準に合わせたほか、気分障害および関連疾患についてDSM-ⅣからDSM-5の変更のポイントについて解説する単元を設けた。DSM-5日本語版の訳者として携わった経験から、DSM-5における改訂ポイントを理解することは、うつ病の疾患概念をより深く理解することにつながるものと考えたからである。
本書により、一般臨床医のうつ病診療力が高まり、見逃されがちであったうつ病患者への適切な治療介入を促すとともに、精神科医の知識向上に役立つことでうつ病診療の全体的なレベルアップにつながることを切に願っている。
(染谷俊幸「増補改訂の序」より)
目次
Chapter1 うつ病はどのような疾患か
Chapter2 うつ病をどのように診断するか
Chapter3 うつ病をどのように治療するか
Quick Reference DSM-5におけるうつ病および関連障害 -DSM-Ⅳからの変更のポイント