-
-
シリーズ ファーマナビゲーターシリーズ 定価 5,060円(本体4,600円+税) 版 型 B6判変型 頁 数 456頁 ISBN 978-4-7792-1717-3 発売日 2016年6月13日 編集 林伸和 宮地良樹
内容紹介
かつての本邦の尋常性座瘡(にきび)治療は,イオウ製剤や抗菌薬の外用,ビタミン剤や抗菌薬の内服と面皰圧出が主体であった。エビデンスレベルの高い治療は抗菌薬のみであり,炎症が悪化した場合を主たる治療対象としていた。海外では当時から,外用レチノイドや経口イソトレチノインが使用可能で,過酸化ベンゾイル(BPO)はOTCとしても一般的になっていた。座瘡治療においては,本邦では海外と比較して20~30年遅れていた。
2008年に本邦発のレチノイド外用薬であるアダパレンが認可され,時を同じくして日本皮膚科学会から「尋常性座瘡治療ガイドライン」が発表され,本邦の座瘡治療は大きく変わった。すべての治療法が有効性のエビデンスに基づいて評価され,推奨する治療法がガイドラインによって明示された。さらに座瘡の初期症状である面皰,病理学的な初期症状である微小面皰という概念が定着し,軽症からの積極的な治療が進んだ。また,炎症軽快後の維持療法も可能となり,座瘡治療への積極的な関与が皮膚科医に求められるようになった。その後,海外では薬剤耐性菌の問題が大きく取り上げられるようになり,本邦でも座瘡治療の普及に伴って今後懸念される問題と考えられるようになった。それに対応して認可されたのが,BPOである。アダパレンとBPOによって,本邦も座瘡治療の点では,海外のレベルに少し近づいた。
座瘡には抗菌薬を処方し,顔を洗いなさいと指導するという時代は終わっている。次々と出てくる新しい治療法を取り入れ,きめ細やかなスキンケア指導と座瘡患者の早期の改善と改善後の再発予防を勧めなければ,受診する患者の心をつかむことはできない。2007年に日本皮膚科学会が行った調査では,皮膚科受診患者に占める座瘡患者の割合は,大学や病院では2%弱に過ぎないが,診療所では7%にもなる。座瘡の最新の治療法は,臨床医が患者に対応するための重要な情報の一つとなっている。
本書では,座瘡の基礎知識を振り返り,さらにBPO,クリンダマイシンとBPOの配合剤などの新しい治療薬を含めた座瘡の治療のすべてを網羅するようにした。折しも日本皮膚科学会の「尋常性座瘡治療ガイドライン」が改訂された。巻頭には新しい尋常性座瘡治療アルゴリズムを添付している。新しいガイドラインのキーワードは,急性炎症期,維持期,耐性菌である。本書が,患者のQOLを高め,耐性菌を作らない今後の座瘡治療に役立つことを祈念している。
林 伸和/宮地良樹(「序文」より)
関連書籍
目次
Chapter 1 にきび治療の基礎知識
Chapter 2 治療のアルゴリズム
Chapter 3 外用療法
Chapter 4 内服治療
Chapter 5 その他の治療
Chapter 6 生活指導・スキンケア
Chapter 7 Q&A