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定価 4,950円(本体4,500円+税) 版 型 B5判 頁 数 256頁 ISBN 978-4-7792-1442-4 発売日 2015年4月1日 編集 池田久雄
内容紹介
久留米大学第三内科(現心臓・血管内科)の初代教授木村 登先生は,1956年に積極的運動負荷療法と食事療法を中心とした患者指導を含む心臓リハビリテーションの概念と重要性を世界に先駆けて提唱された。1980年には第二代教授戸嶋裕徳先生が厚生省研究委託事業の班長となり急性心筋梗塞4週間プログラムの作成がなされるなど,九州は日本の心臓リハビリテーションの牽引役を担ってきたといえよう。
一方,私の研究の興味は冠動脈血栓症の基礎および臨床研究にあった。恩師,戸嶋裕徳先生の後押しもあり,留学先で確立した実験動物モデルを使った急性冠症候群の発症機序に関する研究に没頭した。当時,急性冠症候群に対する冠動脈インターベンションによる急性期治療の目覚ましい進歩に魅了され,心臓リハビリテーションの重要性が忘れられがちになった時期があった感は否めない。
私に転機が訪れたのは2005年夏,「由布院心臓リハビリテーションキャンプ」であった。これは,九州内の心臓リハビリテーションスタッフを対象としたセミナー形式の勉強会である。「由布院キャンプへの参加は,私自身のなかで,心臓リハビリテーションを,知識としての認知から実地臨床で行うべきことへと変容させる契機となった」と思い返される。由布院キャンプは,翌2006年には「第1回九州心臓リハビリテーション研究会」へとつながり,年1回の研究会参加者は年々増加,大きく発展し,再び九州は日本の心臓リハビリテーションのメッカとなりつつある。折しも今年,「日本心臓リハビリテーション学会九州地方会」へと発展する。
わが国においては国民の急速な高齢化が進んでいる。心臓・血管病患者の包括的管理を行うにあたり,心臓リハビリテーションの現場では医師,看護師,理学療法士,作業療法士,健康運動指導士,管理栄養士,臨床検査技師,薬剤師,臨床心理士の多職種によるチーム医療の必要性にとどまらず,フレイルへの対応が求められ,より実践に即した解決策の要望も高まっている。
この度,退職という節目にあたり,熱意ある心臓リハビリテーションスタッフの実臨床や研究の一助になればと本書を上梓することとした。執筆は,ともに活動している九州心臓リハビリテーション研究会の先生方にお願いした。平易で実践に即した内容にしたいとの編者の要望に応えていただき,充実した教科書ができたと自負している。執筆者各位に厚く感謝申し上げる。
本書が臨床の現場で,心臓リハビリテーションの実践書として日常診療に役立てていただければ望外の喜びである。
(池田久雄「序文」より)
目次
第1章 心臓リハビリテーション
第2章 運動機能評価と運動処方の実際
第3章 多職種による心臓リハビリテーション
第4章 心臓リハビリテーション各論
第5章 心臓リハビリテーション運営の実際