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心のサイエンス ―精神医学の進む道―

心のサイエンス ―精神医学の進む道―

シリーズ 心の医学新書シリーズ
定価 2,200円(本体2,000円+税)
版 型 新書判
頁 数 258頁
ISBN 978-4-7792-1438-7
発売日 2015年4月1日
編著 武田雅俊 工藤喬

在庫

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  • 内容紹介
  • 目次

内容紹介

大阪大学精神医学教室では、2006年秋に「心の医学新書」シリーズの1つとして『心のサイエンス ―この十年のあゆみ―』を刊行しました。私が精神医学教室の教授になって10年目の年でしたので、その内容は、10年間に教室で学位を取得した48名の学位論文の内容を解説することにより、その当時の精神医学研究のフロントラインを紹介しようというものでした。本書はその続編にあたるものです。
私は平成8(1996)年4月1日から19年間精神医学教室教授を勤めてきました。本書には、その在任期間の後半に当たる2006年から2014年までに教室で学位を取得した方の論文を取り上げて、その内容を解説すると共にその現代的な意義について論文執筆者自身に寄稿していただきました。定年退官を迎えるにあたり、38名の学位論文を解説した内容に加えて、私の担当として、これまでの教室での研究の流れを総括すると共に、自分の課題としてこれからの精神医学の進むべき道を執筆しました。この内容は阪大精神医学教室に35年間、教授として19年間お世話になった期間に考えてきたことのまとめであり、また、これからの精神医学の進むべき道についての次の世代への提言でもあります。
阪大精神医学教室は、2014年4月7日に教室創設120周年を迎えました。教室および同門会「和風会」では、教室の歴史をまとめた『精神医学の潮流 ─大阪大学精神医学教室120年の歩み─』とその英文誌『Department of Psychiatry Osaka University Medical School-A 120-year History of Growth and Development』を刊行しました。このような歴史をまとめる作業は、教室の伝統や先達の精神医学への貢献をあらためて知る機会となりましたが、阪大精神医学教室で学んだ私たちにとっては、このような歴史と伝統の重みが有形無形のうちに影響されている部分が大きいことも再認識いたしました。
本書はこの120年のごく一部分の業績を解説した小さな書物ではありますが、教室が次の120年に向かって進むべき方向性について記述したつもりです。私は定年を迎え教室を離れることになりますが、阪大精神医学教室が次の世代の人たちにより今まで以上の発展を遂げることを祈念しています。本書がこれからの精神医学を担う若い世代へのメッセージとなれば幸いです。

(武田雅俊「はじめに」より)

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目次

第一章 神経化学グループ
1 Aβが小胞体ストレスを誘導し、小胞体関連たんぱく質分解機構を介してプロテアソーム障害を惹き起こす/金山大祐
2 培養細胞においてエンドサイトーシスの抑制はβAPPの別の分解経路を活性化する/福森亮雄
3 21番染色体のダウン症候群責任領域に位置するDYRK1A遺伝子とアルツハイマー病との関連について/木村 亮
4 晩年発症型アルツハイマー病におけるDynamin2 の低下がAβの代謝を変化させる/鎌形英一郎 
5 培養細胞におけるタウ蛋白の分解におけるpuromycin 感受性アミノペプチダーゼの関与とFTDP17変異によるタウ蛋白質分解過程の遅延に関する検討/柳健太郎
6 βAPPの膜内蛋白分解によるAICDε51とAβ42の産生比率は常に並行して変化するとは限らない/森 康治
7 アルツハイマー病の日本人コホートにおいてKIBRA遺伝子の遺伝子多型はエピソード記憶に影響を及ぼすが、病気の発症には関連を示さない/林 紀行
8 プロテインキナーゼCはアポトーシス阻害蛋白質(XIAP)のSer87 のリン酸化により細胞死抑制を促進する/加藤希世子
9 タウオパチーにおける小胞体ストレスの関与について/阪上由香子
10 マウス背景遺伝子に着目したトランスクリプトーム解析によるAβ蓄積修飾遺伝子Klc1 の同定/横小路美貴子
11 Chitinase 3-like 1(CHI3L1)遺伝子と統合失調症:多施設共同ケース・コントロール研究およびメタ解析からのエビデンス/大井一高
12 統合失調症患者の寛解状態における神経認知機能に関する検討/福本素由己
13 小胞体ストレス応答と機能性精神疾患のクロストーク~シグマ-1受容体を中心に~/近江 翼
14 重度知的障害者の行動症状に対する抗てんかん薬の効果/谷口 謙

第二章 神経心理グループ
1 情動の馴化に関する神経基盤:動画を用いたPET研究/八田直己
2 情動を伴うエピソード記憶の神経基盤に関して動画を用いたPET研究/正木慶大
3 健常高齢者における記憶機能と運動機能の関係/木村修代
4 特発性正常圧水頭症患者における精神行動障害/木藤友実子
5 特発性正常圧水頭症の症候評価のためのスケールの妥当性の検討/久保嘉彦
6 「超早期」特発性正常圧水頭症における、全脳的な血流低下に関して/髙屋雅彦
7 特発性正常圧水頭症患者におけるシャント術前後の脳脊髄腔の変化と臨床症状の関係/和田民樹
8 水頭症患者における脳変形と術後における臨床徴候の改善との関連/山本大介
9 精神行動障害を治療目的とした認知症患者の長期入院の要因の検討/杉山博通
10 アルツハイマー病で認められる妄想の分類と分類された妄想に関連する神経基盤の検討/野村慶子

第三章 神経生理グループ
1 統合失調症の視空間作業記憶と精神症状および社会機能との関連/高橋秀俊
2 統合失調症患者と健常対象者の前頭葉課題とNIRSを用いた判別分析/疇地道代
3 自閉症スペクトラム障害における作業記憶関連課題間での成績の乖離は、作業記憶以外の課題特性が課題の遂行を妨げることに起因する/中鉢貴行
4 しりとり語彙想起課題中の脳皮質リズムの変化─脳磁図空間フィルター解析/山本雅清
5 早期アルツハイマー病と軽度認知障害における、開閉眼に伴うアルファ帯域の脳磁場活動の変化/栗本 龍
6 近赤外線スペクトロスコピーを用いた統合失調症患者における前頭葉機能障害と局所脳血液量変化の検討/池澤浩二
7 自閉症スペクトラム患者におけるミラーニューロンシステム障害と関連した運動後β帯域活動/補永栄子
8 脳波NAT解析を用いた特発性正常圧水頭症患者におけるシャント手術の効果予測/青木保典

第四章 睡眠グループ
1 大学生におけるプレゼンティーイズム:学生版プレゼンティーイズム・スケールの開発/松下正輝
2 入眠前のメディア利用による睡眠時間減少と睡眠不足の訴えの増加/菅沼仲盛
3 日中に眠気を感じているにも関わらず入眠できない人たちにおける自律神経活動─心拍変動と日中睡眠ポリグラフ検査による検討─/森島宏子
4 睡眠負債は返済しなければならない:日本の労働者における睡眠不全と精神健康との関連性/三上章良

第五章 精神病理グループ
1 認知症判別のための西村式認知機能検査(NDテスト)/福永知子
2 ニコチン依存におけるモノアミン酸化酵素Aの役割の検討/吾妻 壮

第六章 三十六年間の認知症研究/武田雅俊
第七章 精神医学の進む道/武田雅俊

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