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AGEsと老化

AGEsと老化

定価 5,170円(本体4,700円+税)
版 型 B5判変型
頁 数 280頁
ISBN 978-4-7792-1005-1
発売日 2013年1月11日
監修 太田博明
編集山岸昌一

在庫

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  • 内容紹介
  • 目次

内容紹介

わが国をはじめ,先進諸国の高齢化は平均寿命からみても顕著であり,いよいよ人生90年時代を迎えている。そして日本人の男女は前期高齢者である65歳以上が3,000万人,後期高齢者の75歳以上が1,500万人,そして80歳以上が800万人を超えている。このように高齢者が21%を超える超高齢社会をわが国ではすでに5年前の2007年(平成19年)から形成している。このことは個人的にも社会的にも老化対策が急務になっているとともに,いかに老化を緩徐にし,超高齢社会を加齢とともにより良く生きるか(well living with aging)が問われる時代となったことを示す。
そして,人生90年時代の折り返し点である45歳くらいから,エストロゲンの低下・加齢・生活習慣の揺るぎから酸化ストレスが徐々に亢進し,やがて各種の代謝異常が個人に集積して,骨,脂質・脂肪,血管病変の連関により,生活習慣病が確立する。一方,時を同じくして,各臓器においては細胞レベル,組織レベル,臓器レベルで老化が進むことにより,免疫力が低下し,易感染性や易腫瘍性となり,感染症や悪性腫瘍が確立し,75歳以降には2人に1人が人生の終焉を迎える。
このような背景には,酸化ストレスの亢進があると専ら考えられていたが,その源流には,糖化ストレスの亢進があるのではと,近年考えられるようになった。すなわち,老化とともに生体内では,非酵素的糖化反応により終末糖化産物(advanced glycation end products ; AGEs)が生成され,各種疾患の発症や進展にかかわることが報告されている。さらにこのAGEsは近年,加齢や糖尿病状態で促進的に形成される,劣化した糖化物質であることから,老化現象とのかかわりを超えて,その元凶となる原因物質ともいわれ始めている。
一方,WHOではこのほど,WHO加盟194カ国の健康関連統計データを集約した年次報告書World Health Statistics 2012を公表した。非感染性疾患の負荷増大を明確に示した今回の報告書によると,世界の成人は3人に1人が高血圧,10人に1人が糖尿病に罹患しているという。そして高血圧は脳卒中と心疾患による死亡原因の約半数を占めている。この報告は現在,5億人の肥満者とともに一部の癌のリスクも高くなっていることを示し,心疾患などの慢性疾患につながる高血圧や糖尿病が劇的に増加していることを示す今までのエビデンスを補完するものと考えられる。
未曾有の超高齢社会を迎えた今日,急増する高血圧や糖尿病,さらには骨粗鬆症をはじめとする変形性関節症やサルコペニア(筋肉減少症)などの運動器疾患や認知症などの各種老年疾患の病態についてAGEs-RAGE系という新しい視点から,本書を編纂した。本書は老化に携わる研究者や臨床家が多岐にわたるAGEs-RAGE研究の現状を包括的に理解していただけるように,異なる分野で専門的な技術や知識を有する第一線の方々にご執筆をお願いした。その結果,AGEsのかかわりを基礎分野から最先端の臨床的側面まで網羅できたのではないかと思われる。研究や診療の枠組みを超えて,学際的・集学的協力体制のもと,超高齢社会における老化対策として,糖化制御からwell living with agingの実現を目指した本書が,分野を超えた研究や診療のお役に立つことを願っている。さらに本書を契機に,AGEs研究がさらに進展する一助になることを期待している。
(太田博明「序文」)

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目次

序説 超高齢社会と老化にかかわる諸問題

Chapter 1 AGEs化反応の基礎
1.メイラード反応の歴史/高橋素子/谷口直之
2.食品におけるAGEs化反応/木苗直秀
3.AGEs化反応の生化学/崎山晴彦/鈴木敬一郎
4.AGEsの化学構造/渡辺寛人/早瀬文孝
5.酸化的タンパク修飾とAGEs:診断と治療/段 孝/宮田敏男
6.グリコトキシンとしてのAGEs/柳澤克之
7.AGEsとポリオール経路のクロストーク/矢部千尋
8.バイオマーカーとしてのAGEs/宮田 哲
9.AGEs形成阻害化合物/永井竜児/藤原章雄
10.AGEs受容体/深水 圭/奥田誠也

Chapter 2 AGEsと疾患
1.AGEsと糖尿病網膜症/加治優一
2.AGEsと糖尿病性腎症/城 愛理/稲城玲子/南学正臣
3.AGEsと糖尿病性神経障害/高橋一徳/水上浩哉/八木橋操六
4.AGEsと糖尿病性大血管症/山岸昌一
5.AGEsと動脈硬化症の石灰化/倉林正彦
6.AGEsと骨粗鬆症/斎藤 充
7.AGEsとOPLL/津留美智代/密川 守/佐藤公昭/永田見生
8.AGEsと筋萎縮/門間陽樹/永富良一
9.AGEsとRA/影山康徳
10.AGEsと加齢黄斑変性/本田 茂
11.AGEsとNASH/兵庫秀幸/茶山一彰/山岸昌一
12.AGEsとインスリン抵抗性/久保田浩之/山岸昌一
13.AGEsと歯周病/永田俊彦
14.AGEsとアルツハイマー病・神経変性疾患/竹内正義
15.AGEsと皮膚疾患・皮膚老化/多島新吾
16.AGEsと生殖医療/神野正雄

COLUMN
・AGEs:糖尿病と癌を結ぶミッシングリンク/山岸昌一
・AGEsとエイジング―ボルチモア加齢縦断研究からの考察―/山岸昌一
・RAGEをrageに/山岸昌一

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