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動脈硬化症の新しい診断・治療標的

動脈硬化症の新しい診断・治療標的

定価 4,620円(本体4,200円+税)
版 型 B5判
頁 数 204頁
ISBN 978-4-7792-0775-4
発売日 2012年7月30日
監修 倉林正彦
編集山岸昌一

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  • 内容紹介
  • 目次

内容紹介

動脈硬化の成因解明は急速に進歩しているが,その研究の歴史は決して平坦ではなかったようだ。高LDLコレステロール血症が動脈硬化の主要な原因となるという発見は,ドイツの病理学者のVirchowが,1850年代にヒトの動脈硬化巣に「コレステリンのプレートが多数存在する」という観察に始まる。そして,1913年,ロシアのAnitschkovとChalatovが卵を豊富に含む食餌をとらせたウサギが動脈壁に脂質を沈着することを発見し,まもなく,動脈病変を起こす卵の成分がコレステロールであることが同定された。20世紀にはコレステロールの代謝や構造が明らかにされ,リポ蛋白の分析,測定が可能になり,動脈硬化におけるコレステロールの役割が解明され始め,また,住民の観察研究によって血清コレステロール値と冠動脈疾患の発症頻度が相関することが明らかにされた。さらに,Framingham研究をはじめとするいくつもの前向き研究(MRFIT,PROCAM,ARICなど)にて,コレステロールと冠動脈疾患との間の密接な関係が確認された。しかし,こうした1世紀にも及ぶ基礎実験,臨床研究にもかかわらず,最近までコレステロールと冠動脈疾患との関係を疑問視する主張もなされていた。コレステロールと死亡率との間にはJカーブ現象があり,低コレステロール血症の人の死亡率が高いことや,クロフィブラートや胆汁酸結合レジンなど,いくつかのコレステロール低下薬では冠動脈疾患死亡を低下させたが,全死亡率は変わらなかったことなどが指摘され,コレステロールを低下させることが本当に有効であるかとのエビデンスはスタチンが登場するのを待たねばならなかった。このように,LDLコレステロールだけを見ても,動脈硬化研究の難しさがわかる。
動脈硬化の研究で,大きなテーマの一つが診断・治療標的となるバイオマーカーの探索である。動脈硬化リスクの層別化,診断ツール,疾患のステージング,予後予測あるいは,治療の効果判定などに有用なマーカー探しである。Ridkerらが提唱し,確立した高感度CRPの測定に代表されるように,「vulnerable patient」を見出すためには,古典的な危険因子の検索とともに,バイオマーカーを用いる戦略が有効であることは疑う余地がない。そして,これまでの多くの研究によって,診断とリスク評価におけるバイオマーカーの価値が確立してきた。しかし一方で,臨床や研究現場は,候補となるバイオマーカーであふれて,臨床的に有益な道具として残っているものは少ない。これからの研究や臨床的な応用に有益なものを選別していくことが重要になっている。
『動脈硬化症の新しい診断・治療標的』が,久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学講座山岸昌一教授によって編集され,脂質関連,糖代謝関連,血圧・血行力学関連,炎症・血栓・老化関連の4つの章に分けて,計20項目が取り上げられた。多面的な動脈硬化の病態の中でも,現在,大変に注目されている分子で,重要な役割を担っているものが網羅されている。そして,それぞれの項目の執筆には,この領域でのわが国のエキスパートの研究者にご依頼した。動脈硬化の研究と臨床の最前線を知り,さらに有効な治療法,予防法の開発のために,本書をお役立ていただければ望外の喜びである。
(倉林正彦「巻頭言」)

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目次

第1章 脂質代謝関連
1.Small dense LDLとRLP-C/平野 勉
2.CETP/谷川宏之/張 波/黒木政秀/朔 啓二郎
3.NPC1L1/倉林正彦
4.パラオキソナーゼ1(PON1)/石橋綾子/井上眞理/高田浩史/藤本新平/寺田典生
5.PLA2/武富芳隆/村上 誠
第2章 糖代謝関連
1.アディポネクチン/岸田 堅/下村伊一郎
2.PPARγ/田中君枝/佐田政隆
3.アンジオポエチン様因子/尾池雄一
4.インクレチン/三田智也/綿田裕孝
5.AGE-RAGE/山岸昌一
第3章 血圧・血行力学関連
1.プロレニンと(プロ)レニン受容体/市原淳弘/木田可奈子
2.ADMA/長谷川一宏/脇野 修/林 晃一/伊藤 裕
3.アルドステロン/北田研人/中野大介/西山 成
4.ACE2/大石 充/楽木宏実
5.時計遺伝子/江本憲昭/野出孝一
第4章 炎症・血栓・老化関連
1.ミエロペルオキシダーゼ(MPO)/成子隆彦/杉岡憲一/上田真喜子
2.オステオポンチン/倉田美恵/大蔵隆文/檜垣實男
3.CD40リガンド/後藤信哉
4.トロンボモジュリン/丸山征郎
5.テロメア/勝野太郎/南野 徹

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