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シリーズ ファーマナビゲーターシリーズ 定価 3,300円(本体3,000円+税) 版 型 B6判変型 頁 数 262頁 ISBN 978-4-7792-0723-5 発売日 2011年10月1日 編集委員 北風政史 室原豊明 山下武志 編集主幹 小室一成
内容紹介
ナビゲーターシリーズの薬剤ナビシリーズ第11巻 改訂版
β遮断薬を自家薬籠中のものにするために
降圧薬におけるARBや新しい抗凝固薬に代表されるように,最近の薬は効果が優れているうえに,副作用が少なく,大変使いやすいものとなっている。一方使い間違うと痛い目にあうが,きわめて効果の優れた薬の代表がβ遮断薬であろう。一昔前までは心不全患者にβ遮断薬は禁忌であったが,いまや心機能を改善するばかりか生命予後おも大きく改善する,最も有用な薬となった。超高齢化社会を迎え,ますます大きな問題となっている心房細動のレートコントロールやQT延長症候群を含めた心室性不整脈に対してもβ遮断薬はファーストチョイスとなっている。ただ投与すると心不全を惹起することもあり,また喘息や閉塞性動脈硬化症の患者にしようするときには十分な注意が必要である。このように諸刃の剣であるβ遮断薬を自在に扱うことを目的に企画されたのが本書である。この改訂版では,新しい臨床試験やガイドライン,新しくコウカが追加された薬の情報などを追加した。また日常診療で遭遇する疑問に答えるため,第3章病態と治療では周術期管理について,第4章EBMとトピックスでは循環器疾患と心拍数について新しく取り上げた。本書は小さいながらも,日常診療においてβ遮断薬を使用するうえで必要かつ十分な情報が掲載されている。普段ポケットに携行し,β遮断薬を自家薬籠中のものにしていただければ編者として幸甚である。
(小室一成「序文」より)
目次
Chapter1 薬理作用と薬物動態
1.薬理作用と薬物動態
1.βアドレナリン受容体
/1.βアドレナリン受容体シグナル伝達2.β遮断薬の薬理学的特徴
/1.β1選択性 /2.脂溶性 /3.内因性交感神経刺激作用 /4.インバースアゴニスト /5.βアドレナリン受容体数に及ぼす影響3.β遮断薬の臨床効果
/1.徐拍化作用 /2.降圧作用 /3.心保護作用 /4.抗酸化作用4.薬物動態
Chapter2 分類
1.分類
1.β1選択性の有無
2.内因性交感神経刺激作用(ISA)の有無
3.膜安定化作用(MSA)
4.親水性・親油性
5.EBMからみたβ遮断薬の分類
6.心不全ガイドラインからみた分類
7.β遮断薬には新しい分類が必要?
Chapter3 病態と治療
1.本態性高血圧
1.β遮断薬の降圧機序と適応
2.β遮断薬の特徴
/1.β1選択性 /2.内因性交換神経刺激作用(ISA) /3.α遮断作用 /4.血管拡張作用 /5.その他の作用3.合併症を伴った本態性高血圧
/1.虚血性心疾患 /2.心肥大 /3.頻脈 /4.心不全 /5.腎障害 /6.脳血管障害 /7.糖尿病 /8.脂質異常症 /9.気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患処方の実際2.不整脈
1.不整脈発生とβ遮断薬
2.臨床効果
/1.上室性不整脈 /2.心房粗細動 /3.房室リエントリー性,房室結節リエントリー性上室性頻拍症 /4.心室性不整脈3.併用療法
4.その他
5.注意点
処方の実際3.虚血性心疾患
1.心筋梗塞
2.狭心症
処方の実際4.心不全
1.収縮不全と拡張不全
/1.収縮不全に対するβ遮断薬 /2.拡張不全に対するβ遮断薬2.拡張型心筋症(DCM)
/1.低心拍出量 /2.徐脈 /3.高度の弁逆流 /4.低血圧3.虚血性心筋症(ICM)
/1.ICMに対するβ遮断薬療法4.左室肥大
処方の実際5.大動脈疾患・末梢動脈閉塞症
1.血管疾患とβ遮断薬
2.β遮断薬の役割
3.大動脈解離
/1.大動脈解離発症時の集中治療 /2.急性期の降圧療法 /3.大動脈解離の慢性期治療4.大動脈瘤
5.末梢動脈閉塞症(PAD,または閉塞性動脈硬化症(ASO))
処方の実際6.周術期管理
1.術前の評価
2.術前評価で虚血がある場合の対応
3.実践的なフローチャート
処方の実際
Chapter4 EBM
1.最近のエビデンス(CIBIS II,MERIT-HF,BEST,COPERNICUS,CAPRICORN,COMET,CARMEN,CIBIS III,CIBIS-ELD)
1.CIBIS II
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論2.MERIT-HF
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論3.BEST
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論4.COPERNICUS
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論5.CAPRICORN
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論6.COMET
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論7.CARMEN
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論8.CIBIS III
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論9.CIBIS-ELD
/1.目的 /2.対象疾患・対象症例 /3.評価項目 /4.プロトコール,治療法 /5.追跡期間 /6.結果 /7.結論2.各種ガイドライン
1.慢性心不全
2.急性心筋梗塞
3.心梗塞二次予防
4.高血圧3.国内のエビデンス
1.JBCM(Japanese β-block and Calcium antagonists Myocardial Infarction) study
2.MUCHA(Multicenter Cardilol Heart Failure Dose Assessment)試験
3.J-CHF(Assessment of β-Blocker Treatment in Japanese Patients with Chronic Heart Failure)試験
4.J-DHF(Japanese Diastolic Heart Failure)試験4.循環器疾患と心拍数
1.正常心拍数
2.住民健診における心拍数と予後
3.心拍数と心血管危険因子
4.各種心血管疾患の治療マーカーとしての心拍数
/1.冠動脈疾患における心拍数と予後 /2.心拍数と冠動脈粥腫破綻 /3.心不全における心拍数と予後5.介入試験による心拍数低下と予後改善
/1.心筋梗塞における心拍数低下と予後改善効果 /2.心不全における心拍数低下と予後改善効果6.高血圧治療における心拍数低下と予後
7.慢性心房細動における心拍数
Chapter5 併用療法
1.Ca拮抗薬
1.β遮断薬とCa拮抗薬の薬物相互作用
2.冠動脈疾患患者でのCa拮抗薬との併用療法
3.心不全患者でのCa拮抗薬との併用療法
4.慢性腎疾患患者でのCa拮抗薬との併用療法
処方の実際2.ACE阻害薬
1.ACE阻害薬の作用機序
2.心不全におけるACE阻害薬とβ遮断薬の併用療法
3.心筋梗塞後におけるACE阻害薬とβ遮断薬の併用療法
4.高血圧におけるACE阻害薬とβ遮断薬の併用療法
5.ACE阻害薬とβ遮断薬の併用療法による注意点
処方の実際3.ARB
1.高血圧に対する併用療法
2.うっ血性心不全合併高血圧患者に対する併用療法
3.実際の処方に際しての注意点
処方の実際4.利尿薬
1.降圧薬としてのβ遮断薬と利尿薬
2.β遮断薬+利尿薬と糖代謝
処方の実際5.α遮断薬
1.α遮断薬とαβ遮断薬
2.α遮断薬・αβ遮断薬の特徴と適した高血圧の病態
/1.交感神経系の緊張低下作用 /2.インスリン抵抗性改善作用 /3.脂質プロファイルの改善作用 /4.尿道括約筋の拡張作用3.β遮断薬とα遮断薬の併用
4.処方の実際
Chapter6 症例の実際
1.第一選択薬として使う症例はどのような病態でしょうか?
2.心不全にはどのような使い方をしたらよいですか?
3.虚血性心疾患の患者ではどのような症例がよい適応ですか?
4.心房細動のレートコントロールにはどのようなタイプのβ遮断薬がよいですか?
5.β遮断薬間で違いはありますか?
6.高齢者にはどのように使えばよいですか?
7.大動脈瘤の治療にはどのように使えばよいですか?
8.腎機能低下例には使ってよいですか?
9.糖尿病,メタボリックシンドロームには使ってよいですか?
10.副作用(徐脈,気管支攣縮,冠攣縮など)が心配なのですが?
Chapter7 使用上の注意
1.使用上の注意
1.使用上の注意
2.徐脈
3.末梢循環障害
4.呼吸器疾患
5.糖・脂質代謝異常
6.心不全
7.離脱症状
8.腎機能
9.電解質異常(カリウム上昇)
10.中枢神経
11.性機能
12.妊婦
13.高齢者
14.その他