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定価 4,400円(本体4,000円+税) 版 型 B5判 頁 数 336頁 ISBN 978-4-7792-0608-5 発売日 2010年9月10日 編集 筒井裕之
内容紹介
糖尿病は,動脈硬化の危険因子の1つとして多岐にわたる心血管病の原因となる。特に,高血圧や虚血性心疾患を合併することが多く,実際の患者ではこれらと相乗的に心血管病を増悪させる。糖尿病は,血管障害ばかりでなく直接心筋の構築・機能変化(リモデリング)を引き起こし,心不全の原因となる。さらに,最近は心不全全体がインスリン抵抗性を引き起こすことも明らかにされ,糖尿病と心血管病は相互に悪循環を形成して病態を悪化させると考えられる。したがって,心血管病と糖尿病を統合的に理解し管理していく必要性をふまえ,本書では両者の合併を「Cardio Diabetic Disease」と表現した。
「Cardio Diabetic Disease」の診療においては,循環器内科医と糖尿病内科医が協働して患者さんの診療にあたる必要があることを示している。すなわち,心血管病と糖尿病の病態生理の理解,診断のための検査,糖尿病を合併した心血管病の治療,心血管合併症を考慮した糖尿病の治療が求められる。
本書では,心血管病と糖尿病を「Cardio Diabetic Disease」として統合的に理解するために必要な知識を,(1)疫学,(2)病態生理,(3)分子機序,(4)診断のために必要な検査,(5)包括的治療戦略という5つのテーマについて循環器と糖尿病の2つの領域の第一線の専門家に執筆いただいた。本書が,循環器内科医,糖尿病内科医はもちろんのこと,幅広い領域の先生方の日常臨床に活かせる新たな視点が提供できれば幸甚である。
(筒井裕之「序文」より)
目次
第1章 わが国における現状を知る
/1.急増する糖尿病 /2.糖尿病と虚血性心疾患の現状 /3.糖尿病と慢性心不全の現状 /4.糖尿病とCKDの現状
第2章 Cardio Diabetic Diseaseの病態生理を理解する
/1.糖尿病・インスリン抵抗性と動脈硬化 /2.食後高血糖・脂質異常症と動脈硬化 /3.糖尿病と虚血性心疾患(冠血流予備能異常も含めて) /4.糖尿病と心不全 /5.糖尿病とCKD /6.メタボリックドミノ
第3章 Cardio Diabetic Diseaseの分子機序にせまる
/1.アンジオテンシンII /2.アディポネクチン /3.レプチン /4.PPARs /5.成長ホルモン /6.酸化ストレス /7.AGE /8.ミトコンドリア機能異常 /9.サーチュイン
第4章 Cardio Diabetic Diseaseの診断を理解する
/1.血糖 /2.インスリン・HOMA指数 /3.ヘモグロビンA1c /4.凝固機能 /5.動脈硬化・血管機能(ABI,PWV,IMT) /6.心機能 /7.糖尿病性腎症における腎機能 /8.腎動脈エコー
第5章 Cardio Diabetic Diseaseに対する包括的治療戦略を理解する
/1.生活指導(食事・運動) /2.肥満症の行動療法 /3.血糖コントロール /4.血圧コントロール /5.脂質コントロール /6.抗血小板療法(アスピリンなど) /7.糖尿病における冠動脈インターベンション /8.糖尿病における腎動脈インターベンション /9.糖尿病と心不全 /10.国内外の大規模臨床試験の最新情報―糖尿病から /11.国内外の大規模臨床試験の最新情報―循環器から