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定価 3,630円(本体3,300円+税) 版 型 B5判 頁 数 288頁 ISBN 978-4-7792-0602-3 発売日 2011年1月20日 編集 一般社団法人 日本病態栄養学会
内容紹介
本書の初版を発行した頃は,NSTが開始されたばかりで,このような本は世にまだ出ておらず,その意味でNSTに関する最初の解説本となった。本の内容も,深い充実したものから表面的な浅いものまでまちまちであった。改訂版(2008)では,各章については初版に比べてデコボコの少ない,充実したものになった。今回はさらに,急性期の管理を中心とし,経腸栄養,静脈栄養の管理の項目を増やした。そして,慢性期の患者の管理については,本書と同じく日本病態栄養学会編集の『病態栄養ガイドブック』の方へシフトするようにした。
また,今回は日本病態栄養学会の栄養評価ガイドラインを導入し,正しい栄養評価,スクリーニングという部分に力を入れた。このガイドラインでは,世界に先駆け,栄養評価に栄養状態と栄養リスクを分けて評価する新しいシステムをとっている。
残念なことにわが国では未だにアルブミンの値だけに一喜一憂して,栄養管理を行っている方が多いのではないかと思われる。アルブミンは栄養以外の因子(特に炎症)により大きく影響されるため,欧米では1990年代以降,栄養状態の指標としてはほとんど用いられなくなった。アルブミンが高ければ栄養状態が良い,低ければ栄養不良だという考えが未だに栄養管理の中心になっている。しかし,実際には,栄養補給を行っても,アルブミンが改善しないことが多い。治療により病態が改善するとアルブミンは改善するが,栄養補給では改善しない指標である。
NSTが普及して約10年が経過した。忙しい業務の中でいかに効率よく栄養管理を行うかについて再考する時期がきたように思われる。我が国では,入院患者の栄養管理がようやく軌道に乗り始めたばかりである。NST加算により栄養管理の進歩が加速されれば幸いである。欧米に負けない栄養管理を行うためにも,まだまだ多くのことを学ぶ必要がある。この本が少しでも読者の栄養管理に役立つことを期待している。
(中屋?豊「序文」より)
目次
1.栄養不良がもたらす影響
2.栄養評価法と栄養スクリーニング
3.栄養管理に必要な検査値とその解説
4.投与エネルギー,栄養素,水,電解質の決定
5.栄養投与法の選択
6.経口可能な補助食の使い方
7.経腸栄養
/経腸栄養に必要な消化管の運動,消化・吸収の知識 /経腸栄養の適応・禁忌 /経腸栄養剤の種類とその選択 /経腸栄養の実施方法(投与計画,速度の決め方) /経腸栄養の合併症とその対策 /薬剤の投与方法(簡易懸濁法) /PEG /在宅栄養療法8.静脈栄養
/末梢静脈栄養法(1.輸液の種類 2.輸液の配合禁忌,側管投与法 3.合併症および対策 4.症例と解説) /中心静脈栄養法 /在宅栄養療法9.重症患者における栄養管理
10.術前術後における栄養管理
11.外傷,熱傷における栄養管理
12.褥瘡における栄養管理
13.糖尿病を有する患者の栄養管理
14.心疾患を有する患者の栄養管理
15.腎疾患を有する患者の栄養管理
16.肝・胆道系疾患を有する患者の栄養管理
17.膵疾患をゆする患者の栄養管理
18.腸疾患を有する患者の栄養管理
19.胃・腸管切除後の栄養管理
20.脳卒中患者の栄養管理
21.がん患者の栄養管理
22.リフィーディング症候群の予防と栄養管理
23.摂食・嚥下障害
24.悪心・嘔吐
25.食欲不振
26.下痢・便秘
27.脱水症
28.電解質異常,酸塩基平衡異常
29.[演習]NSTでの実際の管理
資料
/主な高カロリー輸液用基本液 /主なアミノ酸液 /主な脂肪乳剤 /主な総合ビタミン製剤 /主な経腸栄養剤(1) /主な経腸栄養剤(2) /主な経腸栄養剤(3) /主な経腸栄養剤(4) /主な経腸栄養剤(5)