内容紹介
これまでにスーテント(R)は1,500例以上,ネクサバール(R)は3,000例以上が登録され,広く使用されているにもかかわらず,重篤かつ多彩なAE のために診療現場は安定しているとは言えず,むしろ混乱しているように思われる。その最も大きな理由としては,外来通院による内服治療のAEマネジメントを,多くの患者を診察しなければならない担当医師のみに託していることが挙げられる。理想的には欧米のように,がん治療に卓越した,がん専門薬剤師による服薬指導やがん看護専門看護師によるAEマネジメントが望まれる。また,将来的には,各科内科医(循環器,呼吸器,内分泌,消化器など),皮膚科医を含めたAEマネジメント・チーム医療が必要と考えられる。しかし,残念ながら本邦では,コメディカルスタッフが新規分子標的薬に関する情報や知識を習得する機会がきわめて少ない。今後も新たな分子標的薬の発売(テムシロリムス・エベロリムス・アキシチニブ・バゾパニブなど)が予定されていることを考慮すると,一朝一夕には解決できず,問題の多いところである。
このような状況を鑑みて,本マニュアルは分子標的薬を使用する腎がん患者に携わる看護師の方を対象に,腎がんの病態から分子標的治療の現状,そして実際の治療経験に基づいたAEマネジメントについて編集した。これから分子標的治療を必要とする患者がますます増加すると思われ,種々の症例に遭遇する難しい状況にあるが,本マニュアルが少しでもお役に立てれば幸いである。
(植村天受「はじめに」より)
目次
はじめに
I.腎がんとは
II.腎がんにおける分子標的薬
III.服薬指導マニュアル
1.服薬指導前の情報収集
2.説明に向けての準備
3.服薬指導前の患者教育
4.服薬指導内容
5.服用前後の対応
症状を抑えるために使う薬剤
高血圧
皮膚障害
消化管障害