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シリーズ 心の医学新書シリーズ 定価 2,200円(本体2,000円+税) 版 型 B6判変型 頁 数 246頁 ISBN 978-4-7792-0037-3 発売日 2006年11月30日 編集 武田雅俊 工藤喬
内容紹介
1996年から10年間の大阪大学精神医学教室からの学位論文を解説したものです。学位を授与されたご本人に自分の学位論文の内容と意義とを解説していただき,各章ごとに現在の研究グループチームが自分たちの研究の進展を振り返りながら,その位置づけについて概説を加えていただいたものです。
この企画に込められた意図は,2つあると思っています。第一は,教室で行ってきた研究を解りやすく解説し広く世の中に知っていただきたいと思ったこと,そして第二には,教室の仕事が10年の歴史の中でどのように位置づけられたいるか,自分たちが精魂込めて発表した仕事が,果たして歴史的な評価に沿うものであるのかを謙虚に振り返ってみたいと思ったことでした。
(武田雅俊「はじめに」より)
目次
第一章 臨床に役立つ精神病理研究
1.パーソナリティ障害のプロフィール解析
2.社会不安の分類~対人恐怖と社会恐怖の統一発展へ~
3.質問紙と投映法検査による摂食障害の心理学的特徴の検討
4.Anorexia Nervosaの臨床精神病理学的研究
5.癌で近親者を失った遺族の精神健康と二次的ストレッサー
6.男性更年期のストレス危機―過重労働・メンタルヘルス対策のエビデンス
第二章 統合失調症をめぐって
1.悪性症候群促進因子の解析
2.悪性症候群の病態に基づいた動物モデルの開発
3.統合失調症では表情の減少はあるが内面の情動体験は保たれている
4.神経発生学的視点からの精神疾患解明のアプローチ
5.統合失調症と接着関連蛋白およびファイブロネクチンの関連研究
第三章 生理学的手法
1.クロスオーバー研究による笑いのNK活性上昇効果の検討
2.前頭前野内側部は前頭頭正中部シータ律動(Fmθ)を発生する
3.言語,音楽課題によるα波の伝播の局在性変化
4.脳磁図によるストループ課題時の脳内並列分散処理の脳機能画像化
5.ストループ課題遂行時における統合失調症患者の脳内情報処理の流れと背外側前頭前野の活動
6.文構成課題中の眼球運動と統合失調症の思考形式障害
7.磁気刺激はどのようにして脳に効くのか(そのメカニズム)
8.喫煙時における頭部4本の脳動脈と1本の末梢動脈の血流速度同時連続計画
9.てんかん性異常波の解析―全般性棘波除波複合出現直前における脳波の時間空間的検討―
第四章 精神神経疾患と事象関連電位
1.パニック障害と全般性不安障害の事象関連電位
2.晩発性パラフレニーの事象関連電位
3.初老期・老年期うつ病における脳機能に関する検討
4.事象関連電位を用いた認知症と老年期うつ病の認知機能の検討
第五章 脳のニューラルネットワーク
1.左右の大脳が切り離されると自分の意志が分裂してしまう
2.道具の使用動作実現に関わる体性感覚情報の意義
3.特発性正常圧水頭症における認知機能障害と歩行障害の関係
4.書字に関わる神経基盤:脳賦活研究
5.知覚と概念:側頭葉内側部における異なる記憶システムについて
6.動画による情動の条件付けの神経基盤:PET研究
7.サル下側頭葉皮質における両眼視差情報処理のための機能構築
第六章 認知症をめぐって
1.変異プレセニリン1遺伝子をもつノックインマウス(家族性アルツハイマー病モデルマウス)の作製
2.Cre/loxPシステムを用いたES細胞への両アレル変異導入
3.砂ねずみ海馬における脳虚血後のPresenin1遺伝子の導入について
4.家族性アルツハイマー病に関連する遺伝子変異が小胞体ストレス応答に及ぼす影響
5.RTN-xsはBcl-2とER上で相互作用し,抗アポトーシス活性を抑制する
6.アミロイドβ蛋白のアポトーシス阻害蛋白発現への影響
7.アルツハイマー病脳における細胞死とタウ蛋白リン酸化の変化
8.神経突起の可塑性とニューロフィラメントのリン酸化
9.ラット初代培養神経細胞におけるRho関連キナーゼ
10.アルミニウム神経毒性の研究~アルツハイマー病に関連して~
11.ホモシステイン関連遺伝子によるアルツハイマー病のリスクは?~
12.NSAIDsのR鏡像異性体はアミロイドβ蛋白産生を抑制できる
第七章 社会問題化した睡眠障害
1.閉経期不眠症の睡眠特性:終夜睡眠ポリグラフによる研究
2.睡眠呼吸障害患者における無呼吸低換気指数と異常な食道内圧低下
3.閉塞性睡眠時無呼吸症候群の3要素
4.睡眠呼吸障害の睡眠分断の評価におけるスクリーニング指標としての睡眠中脈拍上昇の臨床的意義